2007年06月24日

心の自由

この頃、事務所に出入りするバイトの大学生を見て、なぜか可愛そうに感じる時があった。

奔流の事務所は渋谷と新宿にあって、確かに学生達にとって街の活気から元気がもらえる。トレンディなものも情報も簡単に手に入る。一見自由になれたようだが、学生の自由は果たしてどこにあるのか。

私は大学生の自由はキャンパスの中にあると思う。物が少ないが、だから自由に考えることができる。心の自由というものだ。

商業が発達すると、分析やマーケッティングの手法がどこまでも駆使される。物溢れるということは、それだけ商業が発達し、人もまた仕掛けられた情報の中に生きている。これだけ高度な情報の中に、しかし、若い学生たちは、自分で選択取捨できるだろうか。現に大人も情報と物に流されているところだが。

理屈の話をよそにして、モンゴルの何もない大地に一度来てみてほしい。そうしたら、あなた自分は、“心の自由”の言葉の重みを感じるはずだ。

投稿者 wataridori : 23:28 | コメント (0)

2006年01月18日

ライブドア

以前、私の友人が私のところにライブドアへ就職することについての相談をしにやってきた。私は、「あのトップは経営者の恥・・・経営者は大なり、小なり、情熱を持つ人たちだよ」と淡々と言った。彼女は私の言葉に驚いたようだった。堀江はそれまで彼の中で‘憧れのヒーロー’だった。

どうして情熱がなかったというのか?私が思うに、経営者の情熱には、理念とポリシー、人間としての生き方、善と悪、愛と憎みが映るものである。

経営者は事業を成功して、社会貢献につながれば、自然と社会に注目され、ヒーローに躍り出る。しかし日本放送をめぐるフジテレビとの丁々発止など一連はどだろう?「社会を騒ぎ、社会が騒ぎ出されれば、己のビジネスに拍車をかける」のようなホリエモン的な思惑が、経営経験のある人間ならだれでも見え透ているはずだ。

アイディアがある。しかし、明確なビジョンがなに一つも言えないのはなぜだろうか。経営者のアイディアとは、先にビジョンがあってからのアイディアで、インチキなものではない。

「彼には文明があるが、文化がない」とある人は指摘した覚えがある。

それでも誉めすぎたと思う。文明の持つ経営者は、ソフトバンクの孫社長のような確固たる信念とはっきりとしたビジョンを持ち、それに四苦八苦時代の担い手としての責任を背負う人たちのことである。

確かに若い世代の中では、ホリエモンは漫画的なキャラクター性から、時代のパイニアに思われ傾向が
ある。

私もちょうど大学4年で事業を立ち上げ、株式の取引も大学4年からはじめたのですが、日本経済の混迷やインターネットのバブルに翻弄され、株式の華と落とし穴の両方身をもって体験した。株に手を出す人は本来、性格やリスクに対する考え方の違いがあって、そこで宿命的なものがある。しかし現代の若い人たちは、煽られて乗り乗り投資している姿は憂鬱にしか思えない。株を手につけば人生が変わるという自覚があるだろうか。

とくに、株式を裏でインチキに操作している張本人が、人に株を勧めるのはいかなる心構えしているかは、私は疑問に思う。

ベンチャー精神の高揚にホリエモンも功があるという人たちもいるが、経営者の人たちから見れば、違う風に見える。なぜなら、情熱あってからのベンチャー、ということを忘れてはいけない。経営者たるものは金儲けのためだけではない。情熱が涌いていないのに、「お前も事業を立ち上げて、大金を儲けなさい」というのは、無責任にしか思えない。

ライブドア騒ぎの背景には、バブル崩壊後の一九九〇年代は、破たんや不祥事が相次ぎ、日本型の経営手法に批判が集まった経緯がある。代わって注目されたのは、株主価値に重きを置く米国型の価値観。米国型の価値観を否定するつもりはないが(欧米社会ではうまく機能している)、その歴史背景、文化と深層意識を考えずに、米国型の価値観のうち、利益重視の部分だけが強調される状況には疑問を感じる。

まして株主利益でなく、己の利益だけに奔走するのは、時代錯誤よりは、心の混迷の時代というしかない。

市場のルールの網の目をくぐって成長につなげる経営手法の中に、価値観の先駆けや、旧来の制度への挑戦のような情熱のケカラも見えない。

皮肉なことに、小泉がホリエモンを選挙に立てたこと。若い人はともかく、政治家なら、ホリエンモンの本質は前から分かっているはずだ。なのに、「知るすべはない、好青年」だとかで片付けようとする姿勢に、誠実に思えない。あるいは、政治家として自ら政治の惨めさを物語っているかもしれない。

思いやりからこのようなホリエモン批判は、決して風雲児が駆け落ちる時に書きたくはない。が、若い人の心が揺らぐこの時代に、偶像崩壊の躊躇と失望感を思えば、つい筆を執ることにした。そもそもはホリエモンが騒ぎ立てた煙に君の若い目が覆われているような気がする。事業家の魂と情熱の塊で地道に時代をリードしている経営者たちは、昔も今もいる。


2006年1月 張 宇

投稿者 wataridori : 11:11 | コメント (0)